「あのーどうしても行きたいランチがあるのですが?」と言われるのだよね。どこですか?と聞くと「築地の黒澤特製ハンバーグが食べたい」というのです。さて、行きますかね。
お店の前に立ったら「築地黒澤に女子が来たがる理由」がすぐにわかる。戦災で焼けていない古民家を改装して店舗にしている。
これのレトロな雰囲気がいいのだろうか?
ランチといえども予約しないと入れない。
必ず予約して欲しい。
店内に案内してもらった。
鉄板の向こうに見えるのガラスが、この建物の歴史を物語っている。手焼のガラスだ。適度に空気が入った気泡の跡が見える。これと同じガラスを作れる職人さんは今はいない。
ニンニクチップが入った瓶を眺めているとこれからどんなハンバーグが焼かれるのかと思うのだ。
これがフォアグラ入りのハンバーグなんだね。
今から君たちが、2センチの鉄板の上で「ジュージュー」と音を立てて焼かれるのだ。
感謝だ。
最初に出てきたのは、サラダだ。
全て、神奈川県の三浦市で取れる野菜を使っている。
学生時代に三浦半島に大根を買いに毎年12月に行っていた。
なんといっても、冬の三浦大根の辛さは昔ながらなのだ。
当時は、1本百円で売ってくれた。
今では、1本六百円はすると思う。「好きなだけ持っていけ。代金は缶の中に入れておりてくれ」と書かれた看板が懐かしい。
三浦大根の旨さが大評判になり、毎年三浦まで大根を買いに行っていた。
社会人になってからは、宅配便で送ってもらっていた。
「三浦の野菜は特別美味いぞ」と教えたら、バクバク食べる新人くん。
「野菜の成分の濃さが違う気がします」というが、本当に味が濃い野菜たちだ。
次に出てきたのがスープである。
毎月、スープは変わるらしいのだが、この時は「インゲン豆のスープ」だった。
お皿がまたアンティークで店舗の古さに比例して歴史を感じさせる。
当然のことながら、肉は焼かれると縮むのである。
そして、旨みをどんどん出していくのだ。
肉から出る油は当然、別のポットに保管されてデミグラスソースの素になる。
さつまいもの焼かれて色づく様子を見ながら待っているのだ。
たまごの元気がいいこと。
プリプリの黄身だ。楊枝を何本させるか試したくなるぐらい元気なたまご。
これが完成した鉄板焼Kurosawa黒澤のフォアグラ入りハンバーグです。
めちゃテンション上がるでしょ。
隣の女子は「写真撮りながら手が震えてきた」と興奮している。
ガーリックライスを選択した。
パンにするかガーリックライスにするか?
勤務を継続する女子も「ガーリックライス」と返事をしている。
きっと、アホ課長にニンニク攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。
そして、ガーリックライスは半分食べたところで、出汁を足して茶漬けになる。
茶碗の天目もどきも良い。
ガーリックライスの茶漬けとは斬新なアイディアである。
これに不思議と高菜漬けが合うのである。
さて、ハンバーグが食べ終わるとデザートとコーヒーが2階で出される。
2階の居間に通される間の壁には、黒澤明監督の写真が数多く展示されている。
コッポラ監督、ジョージルーカス監督となんでこんなに写っていますの?と感心するぐらいのすごい写真たち。
床の間には、黒澤明監督のリトグラフがあった。
黒澤明監督は脚本書くのに茅ヶ崎館に泊まりこんで書いていたのだよね。
こんなリトグラフもあるんだ。
と思いながら、デザートをいただきながら黒澤明監督の映画を思い出していた。
個人的には「生きる」という映画一択だ。
現代にも通ずる社会批判的な映画。
このリトグラフは、道化を描いたものなのだろうか?
道端慎之介さんが演じた道化のモデルなんだろうな。
Akira Kurosawa
この文字を見たらどんどん思い出していく映画のストーリー。
スターウォーズだって、黒澤明監督の映画からヒントを得て作った作品だし。
料理も美味いけど、それを演出する店舗と写真。
これを理解できる女子がきたら
大変なことになるな。
最高のおもてなしでした。
メニューは鉄板焼Kurosawa黒澤でご覧になってください。
きっと喜ばれます。
結婚記念日、彼女の誕生日など特別な日のお食事にはぜひどうぞ。
鉄板焼Kurosawa黒澤へのアクセス
東京都中央区築地2-9-8
築地駅から120m
営業時間
[月~金] 11:30~15:00 17:00~23:00 [土・祝] 11:30~15:00 17:00~22:00
定休日
日曜・年末年始